放課後等デイサービスで起こりがちなトラブルと対処法を解説

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放課後等デイサービスで起こりがちなトラブルと対処法を解説

放課後等デイサービスを利用する中で、子ども同士の衝突が心配、スタッフとのトラブルが増えそうで不安と感じたことはありませんか?実際、子どもとスタッフ、保護者と事業所など、さまざまな場面でトラブルが起こる可能性があります。

 

本記事では、よくある事例と対処法を分かりやすく紹介します。あらかじめ知識を得ておくことで、いざというときにも慌てず対応できるようになるので、参考にしてみてください。

この記事の監修者

監修者 三木啓太郎 Miki Keitarou

《略歴》

理学療法士免許取得後、医療・介護分野にて回復期や慢性期、通所リハなど多様な現場経験を経て、リハビリ型デイサービスや訪問看護、児童を含む福祉施設の立ち上げおよび運営サポートに従事。
現在は業界歴17年の実績を活かし、放課後等デイサービス「ちゃれんじくらぶ」の運営をサポートしている。

《役職》

三州資材工業株式会社 統括部 総合福祉責任者
株式会社IQOL 取締役

《保有資格》

理学療法士、介護支援専門員、防火管理責任者、介護労働者雇用管理責任者、食品衛生責任者、強度行動障害支援者

放課後等デイサービスで起こるおもなトラブルの種類

放課後等デイサービスを利用していると、さまざまなトラブルに直面することがあります。

 

ここでは、以下4つのトラブルをお伝えします。

 

● 子ども同士・子どもとスタッフ間のトラブル
● 保護者と事業所(スタッフや管理者)とのトラブル
● 事業所の運営体制や環境に関するトラブル
● 近隣住民や地域社会とのトラブル

 

それぞれ見ていきましょう。

子ども同士・子どもとスタッフ間のトラブル

放課後等デイサービスでは、児童同士が言い争いや暴言を交わすことがあります。また、スタッフ側が一人ひとりの特性を十分に把握できていないと、注意の仕方や声かけで誤解を生みやすくなります。些細な出来事が積み重なり、子どもがスタッフに反発し、保護者から「子どもをないがしろにされている」と苦情が出るケースも。

 

解決には、児童の特性や気持ちを丁寧にくみ取り、スタッフ同士の情報共有を徹底することが大切です。必要に応じて専門家の支援を仰ぐと、対立の早期収束につながります。

保護者と事業所(スタッフや管理者)とのトラブル

放課後等デイサービスでは、保護者が抱える不安や期待が大きいため、事業所との連絡不足や説明不足から摩擦が起こりやすいです。利用料金の内訳や追加費用の発生について、契約時に十分説明がなされないと、あとから「聞いていなかった」といったクレームに発展しがちです。

 

こうした行き違いを防ぐには、定期的な面談や連絡帳の活用などで情報を共有し、保護者の要望に迅速かつ誠実に応える姿勢が求められます。スタッフ側も保護者の声を軽視せず、問題点を共有して改善策を講じる体制を整えることが大切です。

事業所の運営体制や環境に関するトラブル

放課後等デイサービスの運営体制や環境が不十分だと、子どもたちが安心して過ごせないだけでなく、スタッフの負担も増して問題が起こりやすくなります。安全管理の甘さや設備の老朽化が放置されていると、衛生面や防災面の不備が顕在化し、子どもや保護者から強い不信感を招く原因にもなります。

 

こうした運営面のトラブルを防ぐためには、定期的なミーティングや研修で問題点を洗い出し、すぐに改善に取り組む柔軟な姿勢が不可欠です。

近隣住民や地域社会とのトラブル

放課後等デイサービスは、子どもたちが放課後を過ごす場であるため、騒音や送迎車の出入りなどで周辺住民と摩擦が生じることがあります。施設前や近隣の駐車スペースが不足している場合、路上駐車や交通渋滞などの問題が発生し、苦情へとつながるケースが増加します。

 

こうした地域とのトラブルを避けるには、開設前や運営初期に自治会や近隣住民へ説明を行い、騒音対策や安全確保の計画を丁寧に示すことが大切です。

子ども同士・子どもとスタッフ間のトラブルへの対処法

人間関係のトラブルが起きたとき、感情的になってしまうのは当然のことです。とくに我が子が被害に遭った場合、冷静でいることは難しいでしょう。しかし、以下のような適切な対処をすることで、問題の解決だけでなく再発防止にもつながります。

 

● 暴力や暴言が起きたときは事実確認と記録を残す
● スタッフの不適切な対応には改善を要求する

 

詳しく解説します。

暴力や暴言が起きたときは事実確認と記録を残す

子どもが暴力や暴言を受け、ほかの子を傷つけるような行動を取ってしまった場合は、まず正確な事実確認が重要です。状況を目撃したスタッフや第三者から話を聞き、誰が何をしたのかをはっきりさせましょう。そのうえで、日時や場所、当事者の名前などを詳細に記録に残すことも欠かせません。

 

記録があれば、のちに保護者同士や事業所との話し合いをする際に客観的な判断材料として活用しやすくなります。必要であれば外部の専門家やカウンセラーへ相談し、適切な指導やケアを受けることも検討しましょう。

スタッフの不適切な対応には改善を要求する

保護者や子どもが不安を感じるスタッフの言動や態度は、早めに改善を求めることが肝心です。たとえば、大声で叱るばかりでコミュニケーションを取ろうとしないなどが見受けられる場合、具体的な事例を示しながら施設側に相談しましょう。曖昧な言い方ではなく、「いつ、どのような対応があったのか」をメモに残しておくと伝えやすくなります。

 

事業所はスタッフへの指導や研修によって、改善を図る意欲があるかが重要なポイントです。もし改善が難しい場合には、自治体の相談窓口やほかの保護者への情報共有も検討し、最善策を探ることをおすすめします。

保護者と事業所とのトラブルを防ぐポイント

保護者と事業所の間でトラブルが起きる原因の多くは、最初の認識のズレにあります。「このようなはずじゃなかった」という後悔を防ぐためには、利用開始前に以下を確認することが何より大切です。

 

● 連絡帳の記入ルールと面談頻度を事前に確認
● 利用料金の内訳と追加費用の有無を契約時に確認

 

事前の確認を怠らないことで、信頼関係を築きやすくなります。

連絡帳の記入ルールと面談頻度を事前に確認

連絡帳は子どもの日々の様子や支援内容を共有する大切なツールですが、書き方や頻度が曖昧だと保護者と事業所の間で行き違いが起きやすくなります。たとえば、連絡帳に細かく書いているつもりでも、事業所側が読み落としてしまえば「伝えたはずなのに」と不満につながるかもしれません。

 

こうしたリスクを防ぐには、事前に「どのような項目を記入するのか」「面談は月に何回行うのか」を明確にし、両者で合意しておくのが肝心です。具体的なルールを話し合い、連絡帳の使い方を統一することで、子どもの変化をスムーズに共有できるようになります。

利用料金の内訳と追加費用の有無を契約時に確認

料金トラブルの多くは、契約時に「どのサービスが有料か」「追加費用がかかるタイミングは」といった説明が曖昧なままスタートすることで起こります。通所後になって「送迎に別料金がかかるとは思わなかった」「工作材料費が請求された」と知ると、保護者は大きな不満を感じがちです。

 

こうした誤解を防ぐためにも、利用開始前に必ず料金体系の詳細を確認し、不明な点は遠慮なく質問しましょう。1日の利用あたりの自己負担額だけでなく、特別プログラムやイベント参加費などが別途発生するかどうかも大切なポイントです。

事業所の運営体制や環境トラブルへの注意点

表面的には問題なく見えても、実は深刻な問題を抱えている施設も少なくありません。子どもの安全と適切な支援を確保するため、以下のような運営面での危険信号を見逃さないことが重要です。

 

● スタッフの不足や質の低さ
● 施設や設備の安全管理が不十分
● 不正請求・虚偽報告の疑い

 

これらの問題に早期に気づくことで、大きなトラブルを回避できます。

スタッフの不足や質の低さ

スタッフが十分に配置されておらず、質の面で問題があると感じられる場合、子どもへのサポートが行き届きにくくなります。たとえば、少人数で多くの子どもを見る状況では、一人ひとりの特性や体調をきめ細かく把握できず、トラブルや事故が増えるリスクが高まります。

 

スタッフが子どもに対して適切な声かけをしない、接遇が雑になるなどの不安要素が積み重なると、保護者の信頼を失いやすいです。もし不安な点があれば、見学時や契約前の面談で「研修制度や離職率」について質問し、運営側が改善策を講じているかを確認しましょう。

施設や設備の安全管理が不十分

施設や設備の安全管理が不十分な事業所は、子どもたちの怪我や事故リスクが高まります。ドアや窓の施錠が甘い、衛生面の管理が行き届いていない、非常口や避難経路が確保されていないなど、基本的な対策すら不透明な場合は要注意です。

 

実際に見学する際は、床が滑りやすくないか、子どもが簡単に外へ飛び出してしまわない構造になっているかをチェックしましょう。万が一事故が起きてからでは取り返しがつかないので、目に見える環境整備と緊急時対応のマニュアルが整っているかを重視しましょう。

不正請求・虚偽報告の疑い

子どもの通所実態に合わない請求が行われ、支援時間を過大に報告するなどの不正行為があると、子どもの受けるサービスの質にも影響が出やすいです。たとえば、本来受けていない指導や送迎を「利用実績あり」として請求された場合、あとから気づいても証拠の不備で追及が難しくなることがあります。

 

こうしたトラブルを防ぐには、利用日や支援内容をこまめに記録し、事業所が発行する請求明細と照合する作業が大切です。誠実な事業所であれば、料金や報告内容に関する質問へ丁寧に応じてくれるはずです。

放課後等デイサービスでよい施設の見極め方

パンフレットやホームページだけでは分からない、施設の本当の姿を見極めるには、実際に足を運んで確認することが不可欠です。トラブルを未然に防ぐためにも、施設選びは慎重に行いましょう。

 

ここでは、以下3つのポイントを押さえて施設を見極めます。

 

● 見学時には子どもたちの表情と職員の声かけを観察
● 契約前に過去のトラブル事例と対応実績を質問
● 見学制限や情報開示を渋る対応があればほかを検討する

 

これらの確認により、安心して任せられる施設を選べます。

見学時には子どもたちの表情と職員の声かけを観察

事業所を訪問して見学する際は、子どもたちがリラックスしているか、生き生きと活動しているかなどの表情を確認しましょう。スタッフがどのような声かけをしているかもポイントです。たとえば、注意するときでも子どもの気持ちに寄り添い、落ち着いて伝えているかを観察することで、その施設の支援姿勢が見えてきます。

 

コミュニケーションの取り方や笑顔の多さなど、スタッフ同士の連携の雰囲気も感じ取るとよいでしょう。見学の際は、保護者自身が気になった点を遠慮なく質問し、その受け答えから施設の誠実さを見極めることが大切です。

契約前に過去のトラブル事例と対応実績を質問

事業所の誠実さやリスク管理能力を知るうえで、過去に起きたトラブル事例とその対応実績を確認するのは効果的です。どのような問題が起きたのか、具体的にどう対処し、再発防止策を講じたかを尋ねると、その施設の実力や姿勢がうかがえます。

 

トラブル対策について具体例を示せるかどうかで、スタッフや管理者の意識レベルも見えてくるでしょう。契約前の段階で曖昧な回答しか得られない場合は、慎重に見極めることをおすすめします。

見学制限や情報開示を渋る対応があればほかを検討する

事前の見学や相談で、少しでも違和感を覚えるような対応があったときは要注意です。たとえば、見学を月1回に制限したり、活動中の見学を拒否したりする施設は危険信号と考えられます。

 

また、職員の資格や個別支援計画のサンプル、料金の詳細などの情報開示を「個人情報だから」と渋り、具体的な説明を避ける事業所も警戒が必要です。こうした兆候が見られる施設では、あとから料金トラブルや支援内容の不満などが生じやすいため、別の候補を検討するほうが安心でしょう。子どものためにも、慎重な判断を優先してください。

まとめ:放課後等デイサービスでトラブルに遭わないために

放課後等デイサービス選びで大切なのは、お子さまの個性を理解し、保護者の方と共に成長を見守ってくれる施設を見つけることです。福岡県内で放課後等デイサービスをお探しの方は、ちゃれんじくらぶにご相談ください。

 

理学療法士・作業療法士などの専門スタッフが在籍し、お子さま一人ひとりに合わせた個別支援計画を作成します。定期的な保護者面談を通じて、ご家族と連携しながら「できた!」という経験を積み重ね、お子さまの自信と成長を支援しています。

 

春日・那珂川・日の出・大野城の4教室で、見学や体験も随時受け付けております。まずはお気軽にお問い合わせください。