放課後等デイサービスは不登校でも利用できる?出席扱いになる方法とは

不登校の状態が続く中で、子どもの居場所や学びの場をどう確保すればよいかと悩む保護者は少なくありません。
放課後等デイサービスは、不登校のケースでも条件を満たせば利用可能です。
本記事では、放課後等デイサービスを不登校の子どもが利用できるケースや、出席扱いにするための要件、利用の注意点を解説します。
子どもに合った支援環境を見極めるための判断材料として、ご活用ください。
この記事の監修者

《略歴》
理学療法士免許取得後、医療・介護分野にて回復期や慢性期、通所リハなど多様な現場経験を経て、リハビリ型デイサービスや訪問看護、児童を含む福祉施設の立ち上げおよび運営サポートに従事。
現在は業界歴17年の実績を活かし、放課後等デイサービス「ちゃれんじくらぶ」の運営をサポートしている。
《役職》
三州資材工業株式会社 統括部 総合福祉責任者
株式会社IQOL 取締役
《保有資格》
理学療法士、介護支援専門員、防火管理責任者、介護労働者雇用管理責任者、食品衛生責任者、強度行動障害支援者
放課後等デイサービスを不登校で利用できるケース
放課後等デイサービスは学校に通えていない子どもにとって、日中の活動や社会性を育む大切な支援の場です。
不登校であっても、一定の条件を満たせば放課後等デイサービスの利用が可能です。
以下に、代表的なケースを紹介します。
1. ケース1|発達障がいや精神面の特性がある
2. ケース2|医師や支援機関が通所の必要性を認めている
3. ケース3|受給者証の申請・交付が完了している
4. ケース4|学校との連携体制が整っている
それぞれ見ていきましょう。
ケース1|発達障がいや精神面の特性がある
以下の情緒や精神面に課題を抱える子どもは、放課後等デイサービスの対象になります。
● ASD(自閉スペクトラム症)
● ADHD
● 学習障がい
専門医の診断や発達性検査を受けることで、受給者証(通所受給者証)の申請準備がスムーズになります。
事業所によって支援内容が異なるため、事前の見学や相談を通じて、子どもに合った支援を受けられるか確認しましょう。
ケース2|医師や支援機関が通所の必要性を認めている
医師の意見書や学校、児童相談所、療育センターからの助言があれば、放課後等デイサービスの利用が必要と判断されやすくなります。
たとえば、以下の場合が該当します。
● 心療内科や児童精神科の医師から「集団活動への段階的な参加が望ましい」と判断した
● 教育相談機関や児童発達支援センターが「療育の継続が必要」と助言した
このような判断が記載された診断書や意見書があると、受給者証の申請時にも有利に働くでしょう。
ケース3|受給者証の申請・交付が完了している
放課後等デイサービスを利用するには、「通所受給者証」の交付が必要です。
子どもの障がいや支援の必要性を行政が認定した証明書であり、サービスの利用枠や回数、負担上限月額などが記載されています。
不登校の子どもでも、発達特性や心身の状態に応じた支援が必要と認められれば、受給者証の交付対象となる可能性もあります。
申請には、診断書や意見書などの提出が求められるため、事前に医師や関係機関に相談し、必要書類を整えることが重要です。
ケース4|学校との連携体制が整っている
担任や支援学級の教員が通所の必要性を認識し、保護者と協議したうえで福祉サービス利用を後押しするケースもあります。
学校側が事業所の支援方針や対応力に理解があれば、放課後の支援環境として放課後等デイサービスの活用が認められるでしょう。
学校と良好な関係が築けていると利用への調整がスムーズに進みやすく、早期の通所開始につながるケースも見られます。
放課後等デイサービスで不登校が出席扱いになる要件
放課後等デイサービスの利用が「出席扱い」と認められるためには、文部科学省が定めた一定の要件を満たす必要があります。
具体的には、以下4点がおもなポイントです。
● 保護者と学校との十分な連携があること
● 通所する施設の適切性
● 施設での通所・入所型の支援が前提
● 学習内容の適切性と記録
通所先は通常、公的機関(教育支援センターなど)とされていますが、校長と教育委員会の合意があれば民間施設への通所も可能です。
なお、子どもの学習意欲に応えて自立を支援するためにも、指導要録や通知表に学習状況の評価記載が求められます。
不登校の子どもが放課後等デイサービスで受けられる支援内容
放課後等デイサービスでは個々の状態に応じた多様な支援を通じて、心の居場所作りをサポートします。
ここでは、不登校の子どもが放課後等デイサービスで受けられるおもな支援内容を紹介します。
1. 安心して過ごせる居場所の提供
2. 生活リズムの再構築
3. 対人関係のトレーニング
4. 学校復帰を目的としない居場所作り
詳しく見ていきましょう。
安心して過ごせる居場所の提供
放課後等デイサービスは、家庭や学校以外の「第3の居場所」として、不登校の子どもが安心して過ごせる環境を提供します。
少人数制の空間設定などの個々の特性に配慮した対応により、自分らしく過ごせる時間を確保できます。
固定したスタッフとの継続的な関わりにより信頼関係が築かれ、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。
生活リズムの再構築
不登校が続くと昼夜逆転や食事の偏りなど、生活リズムの乱れがちになります。
放課後等デイサービスでは活動や食事、休憩を規則正しく行うことで、日常生活のリズムを整えていきます。
無理のない範囲で通所を続けることで、規則正しい生活習慣が身につき、学校復帰や社会参加の基盤作りにも役立つでしょう。
対人関係のトレーニング
放課後等デイサービスでは、コミュニケーション力の向上や集団生活への適応を目的に、計画的なプログラムが実施されます。
たとえば「お店屋さんごっこ」などを通じて、あいさつや応対の基本動作を実践的に学ぶ機会があります。
自分の言葉で日々の出来事や関心のあることを話す時間があれば、表現力を育むことにつながるでしょう。
学校復帰を目的としない居場所作り
放課後等デイサービスでは学校復帰を促すのではなく、心穏やかに過ごせる「安心の居場所」としての支援にも力を入れています。
本人のペースに寄り添いながら、「居場所」としての役割を果たすことが目的です。
静かに過ごせる環境整備や、強い指示や競争を避けた活動内容など、不安を抱えた子どもが落ち着く環境を作ります。
学校とは異なる空間で人との関わりや達成体験を得ることが、自信の回復や自立への一歩につながるでしょう。
放課後等デイサービスを出席扱いにするための手続き
放課後等デイサービスの利用が「出席扱い」と認められるためには、以下のような手続きを段階的に進めます。
1. 保護者と学校の連携体制を整える
2. 医師や支援機関からの意見書・助言を用意する
3. 教育委員会との調整を行う
4. 学習計画や支援内容の提出・確認
5. 校長による最終判断・指導要録への記載
医師や支援機関からの意見書は、児童相談所や医療機関などから「通所の必要性」に関する文書を学校に提出が必要です。
教育委員会との調整を行う際に、必要に応じて施設の運営内容や支援計画の確認も行われます。
放課後等デイサービスを不登校で利用する際の注意点
ここでは、安心して放課後等デイサービスに通えるための注意点を解説します。
1. 支援内容が本人に合っているかを見極める
2. 学校との情報共有体制を確認する
3. 支援の目的を保護者とスタッフで共有しておく
それぞれ見ていきます。
支援内容が本人に合っているかを見極める
放課後等デイサービスには事業所ごとに特色があり、行われる支援内容もさまざまです。
創作活動中心の施設もあれば、学習支援に力を入れているところもあります。
通所支援を継続していくためにも、子どもの興味関心や発達段階に合った支援が行われているかの見極めが大切です。
学校との情報共有体制を確認する
不登校児童が出席扱いになるためには、学校との連携が不可欠です。
連絡帳や面談、支援会議などを通じて、事業所と学校間で情報が適切に共有されているかを確認しましょう。
情報共有が円滑に行われている施設は学校側からの信頼も厚く、安心して通所を続けられる環境が整っています。
支援の目的を保護者とスタッフで共有しておく
「学校復帰を目指すのか」「安心して過ごせる場として活用するのか」など、支援の目的は家庭によって異なります。
目的が曖昧なまま通所を続けると、支援の方向性にズレが生じやすくなります。
事前にスタッフとの面談を通じて目的を明確にし、保護者と施設が同じ目線で支援を進めていくことが重要です。
まとめ|放課後等デイサービスは不登校の子にとっての新たな居場所になる
放課後等デイサービスは学校に通えない子どもにとって、社会とのつながりや安心できる日常を取り戻す大切な場です。
学校との連携体制や支援計画が整っていれば、通所が「出席扱い」と認められる可能性もあります。
無理に登校を促すのではなく、子ども一人ひとりのペースを尊重した支援が求められるでしょう。
不登校のお子さまの支援先をお探しの方は、専門スタッフが在籍する「ちゃれんじくらぶ」もご検討ください。
お子さまが安心して通える環境作りをサポートします。