放課後等デイサービスに必要な資格とは?資格要件や無資格者の働き方を解説

放課後等デイサービスは、障がいのある子どもの発達や社会性を育む大切な支援の場です。
安心して利用するためには、どのような資格を持つスタッフが支援にあたっているのかの把握が重要です。
本記事では、放課後等デイサービスに配置される資格者の種類や、役割・メリットを解説します。
無資格スタッフが担う業務にも触れていますので、子どもを預ける施設選びの判断材料として参考にしてください。
この記事の監修者

《略歴》
理学療法士免許取得後、医療・介護分野にて回復期や慢性期、通所リハなど多様な現場経験を経て、リハビリ型デイサービスや訪問看護、児童を含む福祉施設の立ち上げおよび運営サポートに従事。
現在は業界歴17年の実績を活かし、放課後等デイサービス「ちゃれんじくらぶ」の運営をサポートしている。
《役職》
三州資材工業株式会社 統括部 総合福祉責任者
株式会社IQOL 取締役
《保有資格》
理学療法士、介護支援専門員、防火管理責任者、介護労働者雇用管理責任者、食品衛生責任者、強度行動障害支援者
放課後等デイサービスのスタッフに必要な資格
障がいのある子どもへの支援を適切に行うため、放課後等デイサービスでは有資格のスタッフの配置が義務づけられています。
ここでは、放課後等デイサービスにおいて配置されるスタッフの必要な資格を解説します。
1. 児童発達支援管理責任者
2. 児童指導員
3. 保育士
4. 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
5. 看護師
それぞれ見ていきましょう。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者(通称:児発管)は、放課後等デイサービスの支援体制の中心となるスタッフです。
子ども一人ひとりに合わせた「個別支援計画」を作成し、スタッフ全体を指導・調整しながら管理する役割を担います。
具体的な業務は、以下のとおりです。
● お子さまや保護者との面談
● 支援目標や方法の設定
● 支援状況の記録・モニタリング
● ほかの職種との連携・会議の主導
児童発達支援管理責任者の資格は一定年数以上の実務経験に加え、厚生労働省指定の研修の修了で取得できます。
児童指導員
子どもと日常的に関わり、活動や生活支援を直接担当するスタッフです。
資格の取得には、任用資格(一定の学歴・経歴で認められる資格)で、以下のいずれかを満たす必要があります。
● 教員免許(小・中・高等学校など)
● 社会福祉士、精神保健福祉士の資格
● 大学・短大などで福祉・教育・心理・社会学系の課程を修了
子どもの発達の段階や、個々の特性に合わせた対応が可能です。
保育士
国家資格である保育士も、放課後等デイサービスの現場では欠かせない存在です。
就学年齢の低い子どもに対して、身の回りの生活支援や情緒面のフォローなどを行います。
具体的な業務は、以下のとおりです。
● 食事・排せつ・着替えなど生活面の見守りや声かけ
● 活動中の安全確保や環境設定
● 保護者との連携や支援内容の共有
● 子ども一人ひとりの発達に応じた関わり
子どもの小さな変化にも気づきやすく、安心して任せられる存在として保護者からの信頼も厚い職種です。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
放課後等デイサービスの中には、専門的なリハビリ資格を持つスタッフが在籍している施設もあります。
それぞれの専門職は、以下のような支援を担当します。
専門職 | 支援内容 |
理学療法士(PT) | 姿勢や歩行のサポート |
作業療法士(OT) | 手先の動きや日常動作の訓練 |
言語聴覚士(ST) | 発語や飲み込み、コミュニケーション支援 |
これらの専門職は医療現場で活躍する国家資格者であり、医療ケアが必要な子どもに対して、個別性の高いサポートが可能です。
看護師
医療的ケアが必要な子どもも通所する場合、常勤または非常勤で看護師が在籍している施設もあります。
看護師が担うおもな役割は、以下のとおりです。
● 吸引や経管栄養など、医療的ケアの実施
● 発作や体調不良時の初期対応
● 保護者や医療機関との連携・健康管理のサポート
● 衛生面や感染症対策の指導・実践
とくに、てんかん・心疾患・呼吸器疾患など医療的配慮が必要な場合は、看護師の常駐勤務が求められます。
放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスは、障がいのある就学児童(小学生~高校生)を対象に、支援を行う福祉サービスです。
以下に、放課後等デイサービスの特徴を解説します。
1. 対象年齢と条件
2. 支援の内容
詳しく見ていきましょう。
対象年齢と条件
放課後等デイサービスの対象となるのは、6歳から18歳までの障がいのある就学児童です。
対象年齢は小学校1年生から高校3年生までにあたり、学校に通っているかどうかは問われません。
利用には、以下の条件を満たす必要があります。
● 療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持している
● 医師による発達障がい・知的障がい・精神障がいなどの診断を受けている
● 市区町村から「通所受給者証」の交付を受けている
なお、診断名がない「グレーゾーン」とされる場合でも、支援の必要性があれば利用が認められるケースもあります。
支援の内容
放課後等デイサービスでは、障がいのある子ども一人ひとりに合わせた「個別支援計画」に基づいて、以下のような支援が行われます。
● 日常生活動作(食事・排せつ・着替えなど)のサポート
● 学習支援や宿題のフォロー
● 集団行動や社会性を育てる活動(ルールを守る、順番を待つなど)
● 感情表現や自己コントロールを学ぶトレーニング
● 創作・運動・調理などを通じた体験的活動
● 保護者への助言や家庭支援、学校との連携
放課後等デイサービスは「第三の居場所」として子どもの成長を支え、保護者に安心をもたらす場所です。
放課後等デイサービス利用の流れ
放課後等デイサービスを利用する際は「通所受給者証」の取得が前提となるため、以下の流れでの手続きが必要です。
1. 市区町村の障害福祉窓口へ相談
2. 医師の診断書や意見書の準備
3. 通所受給者証の申請・交付
4. 事業所の見学・面談・契約
5. 利用開始・個別支援計画の作成
支援の必要性が認められれば、療育手帳や医師の診断書、発達外来での意見書など、支援の根拠となる書類を提出する必要があります。
支給決定を受けると「通所受給者証」が発行され、希望の施設を見学して契約手続きを行います。
相談支援専門員や事業所スタッフが申請をサポートしてくれるため、早めの相談でスムーズな利用開始が期待できるでしょう。
放課後等デイサービスで無資格者ができる仕事
放課後等デイサービスでは、無資格のスタッフも一定の条件のもとで働けます。
無資格であっても、子どもたちの成長を支える大切な役割です。
おもに担当できる業務例は、以下のとおりです。
● 活動の見守り・補助
● 送迎時の添乗・運転補助
● 制作活動や軽作業の手伝い
● 資格保有者のサポート
ただし、厚生労働省が定める職員配置基準の対象となる「有資格者」としてはカウントされません。
無資格者が中心となって運営されることはなく、あくまでもチームの一員として支援に関わる形になります。
放課後等デイサービスに資格保有者がいる3つのメリット
放課後等デイサービスを選ぶ際、スタッフの資格や体制は重要な判断材料です。
以下3つの観点から、資格保有者がいることで得られるメリットを紹介します。
1. 専門的な視点での支援が可能になる
2. トラブルや緊急時の対応に強い
3. 行政の配置基準を満たしていることで信頼性が高まる
それぞれ見ていきましょう。
専門的な視点での支援が可能になる
有資格者は、発達障がいや知的障がいに関する専門知識と経験を持っています。
そのため、子どもの特性に応じた支援計画や対応ができ、安心して任せられる環境が整うでしょう。
児童発達支援管理責任者が作成する「個別支援計画」は、子どもの成長段階に合わせてきめ細かく設計されます。
子どもの行動や感情の背景を正しく理解し、適切な関わり方を実践できるのが、資格保有者ならではの強みです。
トラブルや緊急時の対応に強い
放課後等デイサービスでは、子ども同士のトラブルや体調不良、突発的なパニックなど、予期せぬ状況が発生する場合もあります。
たとえば、資格保有者は障がい特性に応じた関わり方を熟知しているため、子どもを落ち着かせる適切な対応が可能です。
緊急時に備えたマニュアルの整備や情報共有、スタッフ間での連携体制が構築されており、安全面への配慮も徹底されています。
万が一の際にも迅速かつ冷静に対応できる支援環境が整えられているので、保護者にとっても安心材料となるでしょう。
行政の配置基準を満たしていることで信頼性が高まる
放課後等デイサービスは児童福祉法に基づき、厚生労働省が定めた「人員配置基準」を遵守する必要があります。
具体的には、児童発達支援管理責任者や児童指導員、保育士などの専門資格を持つ職員の一定数配置が義務づけられています。
基準をクリアしている事業所は、行政による指導監査に対応しながら適正な運営を継続している証です。
保護者にとっては、信頼できる施設かを見極める1つの目安になるでしょう。
放課後等デイサービスで働くのが向いている人
ここでは、放課後等デイサービスで働くのが向いている人の特徴を4つ紹介します。
1. 子どもと関わることが好きな人
2. 相手のペースに合わせて寄り添える人
3. チームでの連携を大切にできる人
4. 成長の見守りにやりがいを感じる人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
子どもと関わることが好きな人
放課後等デイサービスでは、日々の活動や遊び、学習のサポートを通じて子どもたちと深く関わる機会が多くあります。
そのため、子どもと接する時間に楽しさや喜びを感じられる人は、この仕事に向いているでしょう。
子どもの小さな成長や笑顔に気づき、一緒に喜べる感性は支援の現場では大きな力になります。
ただし、好きなだけでなく子どもに寄り添い、安心できる関係を築こうとする姿勢が重要です。
相手のペースに合わせて寄り添える人
放課後等デイサービスを利用する子どもたちは、一人ひとり異なる発達段階や特性を持っています。
個々の違いを受け入れ、子どものペースを尊重しながら支援できる人は、この仕事に向いているでしょう。
早くできることを求めるのではなく、子どもにとって適切なペースで寄り添う姿勢が大切です。
チームでの連携を大切にできる人
放課後等デイサービスは、複数のスタッフが連携して運営されています。
共有された支援計画に基づいて動き、必要な情報をチームで伝え合える人が求められるでしょう。
たとえば、子どもの変化に気づいた際に報告・相談できる人は信頼されやすく、支援の質向上にもつながります。
子どもの発達をチームで支えていく意識を大切にできる方にとっては、やりがいを感じられる職場環境です。
成長の見守りにやりがいを感じる人
放課後等デイサービスでは、子どもの成長を間近で見守れます。
「昨日できなかったことが今日はできた」などの小さな一歩を一緒に喜べる人に向いている仕事です。
保護者の安心や信頼を得られる場面も多く、人の役に立っている実感を持ちたい方にとっては大きなモチベーションになるでしょう。
まとめ|資格のあるスタッフが支える放課後等デイサービスを選ぼう
放課後等デイサービスは、子ども一人ひとりの特性に合わせた支援を行う場所です。
支援の質を左右するのが、配置されているスタッフの「資格」と「経験」です。
専門性のあるスタッフが在籍している施設であれば、日々の関わりや成長支援にも安心して任せられるでしょう。
「ちゃれんじくらぶ」では、理学療法士・作業療法士・保育士など、有資格者が多数在籍し、安心の支援体制を整えています。
子どもの可能性を広げる場所として、まずは施設の見学や相談からお気軽にお問い合わせください。