放課後等デイサービスはグレーゾーンの子どもも利用できる?支援内容や選び方とは

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放課後等デイサービスはグレーゾーンの子どもも利用できる?支援内容や選び方とは

発達障がいのグレーゾーンにある子どもは、特性への理解不足により日常生活で困り事を抱えやすい傾向です。

放課後等デイサービスは、診断の有無にかかわらずグレーゾーンの子どもが利用できる場合もあります。

 

本記事では、グレーゾーンの子どもが放課後等デイサービスを利用する可否や受けられる支援内容、事業所選びのポイントを解説します。

子どもの可能性を広げる選択肢として、参考にしてください。

この記事の監修者

監修者 三木啓太郎 Miki Keitarou

《略歴》

理学療法士免許取得後、医療・介護分野にて回復期や慢性期、通所リハなど多様な現場経験を経て、リハビリ型デイサービスや訪問看護、児童を含む福祉施設の立ち上げおよび運営サポートに従事。
現在は業界歴17年の実績を活かし、放課後等デイサービス「ちゃれんじくらぶ」の運営をサポートしている。

《役職》

三州資材工業株式会社 統括部 総合福祉責任者
株式会社IQOL 取締役

《保有資格》

理学療法士、介護支援専門員、防火管理責任者、介護労働者雇用管理責任者、食品衛生責任者、強度行動障害支援者

発達障がいのグレーゾーンとは

発達障がいの「グレーゾーン」とは、医師から正式な診断が下りていないものの、以下のような特性を持ち合わせています。

 

● 集団の中でうまくなじめない
● 指示が通りにくい
● 感情のコントロールが難しい
● 音や光、においなどに過敏に反応する
● 1つのことに強くこだわる傾向がある
● 学習内容にムラがあり、得意・不得意が極端に分かれる

 

こうした特性は成長とともに目立たなくなるケースもあります。

 

しかし、放置すると自己肯定感の低下や二次障がいにつながるリスクもあるため、早期の支援が大切です。

グレーゾーンと軽度発達障がいの違い

グレーゾーンと軽度発達障がいは混同されがちなので、以下に違いをまとめました。

 

 項目  グレーゾーン 軽度発達障がい
診断の有無 なし(診断に至らない) あり(診断済み)
支援対象 原則は対象外だが、配慮や支援が求められる 医療的・福祉的支援の対象
特性の現れ方 日常生活や集団生活において困り事が見られる 診断基準を満たす明確な特性がある
必要な対応 周囲の理解と柔軟な環境調整 専門的な支援、療育、環境調整
課題 特性が見過ごされやすく、支援が届きにくい 医療機関との連携、支援体制の整備

 

グレーゾーンと軽度発達障がいの違いを正しく理解すれば、子どもにとって最適な支援環境を選びやすくなります。

グレーゾーンで放課後等デイサービスを利用する方法

発達障がいのグレーゾーンとされる子どもでも、適切な手続きを経ることで放課後等デイサービスの利用が可能です。

 

ここでは、放課後等デイサービスを利用するまでの基本的な流れを解説します。

 

1. 自治体の福祉窓口に相談
2. 医師の意見書または相談支援専門員のアセスメント
3. 通所受給者証の申請と交付

 

それぞれ見ていきましょう。

自治体の福祉窓口に相談

まずは、お住まいの市区町村にある福祉課や障がい福祉窓口へ相談しましょう。

 

グレーゾーンの子どもであっても、日常生活や学校生活に困り事がある場合は、支援の対象になる可能性もあります。

福祉窓口では、子どもの発達の様子や困り事のヒアリングが行われ、必要に応じて医療機関や相談支援専門員への案内も受けられます。

 

なお、家庭での様子や園・学校からの意見書があると、状況を具体的に伝えやすくなるでしょう。

医師の意見書または相談支援専門員のアセスメント

放課後等デイサービスの利用には、子どもの支援が必要であることを第三者が客観的に証明する書類が求められます。

たとえば医師による意見書は、発達上の特性や生活面での困難が記されており、支援の必要性を伝える材料の1つです。

 

ただし、必ずしも医師の診断名は必要ではありません。あくまで支援の必要性を判断するために、診断書や意見書が発行されます。

相談支援専門員によるアセスメント(課題分析)も、家庭や学校での様子からサービス利用の妥当性を判断する手段となるでしょう。

 

支援の必要性が認められれば、申請手続きに進めます。

通所受給者証の申請と交付

放課後等デイサービスを利用するには「通所受給者証」が必要です。

通所受給者証は、自治体から交付される証明書で、利用できる事業所や支給量(利用可能な日数)などが記載されます。

 

申請には、医師の意見書や相談支援専門員のアセスメント結果など、支援の必要性を示す書類が求められるでしょう。

提出後、自治体による審査と面談などを経て、適切と判断された場合に受給者証が交付されます。

 

交付には1ヶ月前後 かかる場合もあるため、あらかじめ準備を始めておくと安心です。

グレーゾーンの子どもが放課後等デイサービスで受けられる支援

放課後等デイサービスではグレーゾーンの子どもに対して、以下のような社会性や自立を促すさまざまな支援が行われています。

 

1. 対人関係のトレーニング
2. 感情コントロールや自己理解の支援
3. 日常生活スキルの習得

 

具体的な支援内容を紹介します。

対人関係のトレーニング

グレーゾーンの子どもにとって、相手の気持ちの想像や自分の意見を適切に伝えることが難しい場合もあります。

ロールプレイやグループ活動を通して、「あいさつをする」「順番を守る」といった基本的なコミュニケーションの力を育みます。

 

集団の中で安心して過ごせる経験を積むことで、少しずつ対人関係への自信をつけていけるでしょう。

感情コントロールや自己理解の支援

放課後等デイサービスに通うグレーゾーンの子どもの中には、「思い通りにならないとパニックになる」など、感情のコントロールが課題になるケースも少なくありません。

スタッフが個別に寄り添い、気持ちの整理の仕方や落ち着き方を一緒に考える支援が必要です。

 

たとえば、感情カードを使い、喜び・怒り・悲しみ・不安などの感情に名前をつけて、今の気持ちを言葉で表現する練習も行います。

イラストやワークシートを活用して「自分の得意・不得意を知る」などの自己理解を促す取り組みも実施されています。

日常生活スキルの習得

子どもの自己肯定感や自立心を育てていくためにも、「できることを少しずつ増やす」ことが大切です。

日常生活スキルを習得するため、生活に必要な基本動作や習慣づけを丁寧にサポートします。

 

たとえば、以下のような内容が含まれます。

 

● あいさつや靴の脱ぎ履き、手洗いなどの生活習慣の定着
● 時間割に沿って行動する、準備や片付けをするなどの日課への理解
● おやつの準備や簡単な掃除といった身の回りのことへのチャレンジ

 

これらの支援を通じて、「できた」という経験の積み重ねが自信につながっていくでしょう。

グレーゾーンの子どもが放課後等デイサービスを活用するメリット

発達のグレーゾーンにある子どもは集団生活に戸惑いやストレスを抱えやすく、支援の必要性が見過ごされがちです。

ここでは、放課後等デイサービスの活用で得られるメリットを紹介します。

 

1. 学校外に安心する居場所ができる
2. 自分のペースで人と関わる力を育める
3. 保護者の不安や孤立を軽減できる

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

学校外に安心する居場所ができる

放課後等デイサービスでは、学校での集団生活に馴染みにくい子どもでも、自分らしく過ごせる環境が整っています。

放課後等デイサービスでは小集団での活動が中心となるため、大人数の環境が苦手な子どもでも過度な刺激を受けず済みます。

 

個別の活動スペースを設けている事業所もあり、その日の気分や体調に応じて過ごし方を選べる柔軟性があるのも特長です。

 

無理に人と関わる必要はなく、自分のペースで過ごせる点も安心感につながるでしょう。

自分のペースで人と関わる力を育める

放課後等デイサービスでは無理に集団行動を強いることはなく、一人ひとりのペースに合わせた関わり方が大切にされています。

たとえば、職員との1対1の関わりから始め、徐々に集団の関わりへと段階を踏むことで、安心して対人スキルを育むことが可能です。

 

段階的な支援は、人と関わることに不安を抱えがちなグレーゾーンの子どもにとって、大きな安心材料となります。

保護者の不安や孤立を軽減できる

子どもの発達や将来への不安は大きく、家庭だけで抱えるには重荷となることも少なくありません。

 

放課後等デイサービスでは、保護者との連携も重視しており、日々の様子や成長の共有を通じて安心感が得られます。

同じ立場の保護者とつながる機会も生まれ、孤立感の軽減にもつながるでしょう。

放課後等デイサービスを選ぶ際に確認したい3つのポイント

放課後等デイサービスは各事業所で支援方針や対応範囲が異なるため、子どもの特性や家庭のニーズに合った施設の選択が重要です。

 

以下3つのポイントを意識しながら、安心して通える事業所を見極めましょう。

 

1. グレーゾーンの対応実績があるか
2. 支援内容や活動プログラムの内容
3. 子どもにとって安心できる雰囲気があるか

 

それぞれ見ていきます。

グレーゾーンの対応実績があるか

これまでにグレーゾーンの子どもへの支援経験があるかは、事業所選びの大切な判断材料です。

実績があれば特性に応じた声かけや対応の工夫がされている可能性も高く、子どもが安心して過ごせる環境につながります。

 

見学時には、支援内容や過去の対応例を具体的に確認するとよいでしょう。

対応経験が豊富な事業所では、保護者への説明や受給者証の取得サポートもスムーズに行われます。

支援内容や活動プログラムの内容

放課後等デイサービスでは、各事業所で実施している支援内容やプログラムが異なります。

たとえば、以下のような目的に応じた支援が用意されています。

 

● SST(ソーシャルスキルトレーニング)
● 感情コントロール
● 学習支援
● 創作活動
● 運動療育

 

子どもの特性や課題に合った支援が受けられるかを見極めるには、事前にプログラムの内容確認が重要です。

パンフレットだけでなく、見学して雰囲気をつかむとよいでしょう。

子どもにとって安心できる雰囲気があるか

どれほど充実した支援内容があっても、子どもが安心して過ごせる環境でなければ継続的な通所は難しくなります。

職員の対応やほかの利用児との関係性、施設内の雰囲気が安心できるかが大切な判断材料になります。

 

体験利用や見学を通じて、スタッフの接し方やほかの利用児との雰囲気を実際に感じてみることが大切です。

家庭に近い安心感や、子どものペースを尊重する姿勢が感じられるかを見極めましょう。

まとめ|放課後等デイサービスはグレーゾーンの子どもにとって心のよりどころに

発達障がいのグレーゾーンにある子どもは診断がないことで支援の機会を得にくく、日常生活で困難を抱えやすい傾向にあります。

放課後等デイサービスは個々に合った支援を行うことで、安心できる居場所としての役割を果たします。

 

保護者にとっても相談や情報共有を通じて不安や孤立感が和らぎ、家庭だけで抱え込まずに済むメリットもあるでしょう。

 

グレーゾーンの子どもに適した支援環境を整えたい方は、対応実績が豊富なちゃれんじくらぶの活用も検討してみてください。